省コストの暖房といえばまっさきに「こたつ」が思い浮かびます。
少ないエネルギー消費でも温かくて家族団らんには欠かせない暖房器具ですが、本当に省エネなのか、電気料金を安く済ませられるのか気になるところです。
今回は、「こたつの電気代」にスポットを当てて深堀りしてみようと思います。
こたつには3つのヒーターが存在する
「こたつ」というとどのようなものを思い浮かべますか?
こたつ布団の中で赤く発光している様子を思い浮かべる人が多いと思いますが、それは「石英管ヒーター」と呼ばれるもので、古くから使い続けられてきたオーソドックスなこたつです。
最近では「速暖性」に優れたハロゲンヒーター式や、省エネに優れたカーボンパネルヒーター式など様々な種類のこたつが増えています。
3種類のこたつヒーターを比べてみましょう。
石英管ヒーター |
ハロゲンヒーター |
カーボンパネル |
|
あたたかさ |
〇 |
◎ |
△ |
速暖性 |
△ |
◎ |
× |
省エネ性 |
〇 |
◎ |
◎ |
大きさ(厚さ) |
△ |
△ |
◎ |
消費電力 |
300~500W |
300~600W |
150~250W |
石英管ヒーターのこたつ
昔ながらの石英管ヒーターは、こたつ内が温まるまでに少し時間がかかりますが、赤外線を放射するため身体の中から温まり、こたつを出ても少しの間はぽかぽかが続くのは、他の方式にいはない大きなメリットです。
冷え性の方や、長時間寒い処にいて身体の芯まで冷たくなってしまった時などに非常に効果のある暖房器具と言えます。
しかし、石英管は非常に壊れやすく大きな衝撃を与えると割れてしまう場合があるので、取扱いには注意が必要です。
電気代に直結する消費電力は、300~500Wほどです。
ハロゲンヒーターのこたつ
扇風機の形をしたハロゲンヒーターを見たことがあるかもしれませんが、原理は同じです。
すぐに温かくなり「速暖性」の点ではダントツの早さを誇りますし、温かさもパワフルです。寒い戸外から帰宅してすぐに温まりたい場合に最適なこたつです。
耐久性にも優れていて長寿命ですが、省エネに関しては3方式の中でもっとも電気を食ってしまいます。電気代よりも速暖性やパワフルな温かさを求めるならハロゲン式がおすすめです。
また、石英管ヒーターと比べて長寿命な点でも高コスパと言えます。
消費電力は300~600Wほどです。
パネルヒーター(カーボンパネルヒーター)
パネルヒーターはカーボン製のパネルに通電することで温かくします。
パワーがなくこたつ内を温めるには時間がかかるのが難点ですが、省エネ性能はピカイチで最も電気消費の少ない方式です。
消費電力は150~250W程度なので、1000Whクラスのポータブル電源でも4~6時間の運転が可能です。電力をソーラーパネルで自給すれば電気代がかからない運用も可能です。
こたつの電気代をタイプ別に比較
上記3タイプのこたつを使用した際の電気料金をシミュレーションしてみます。
石英管ヒーター |
ハロゲンヒーター |
パネルヒーター |
|
消費電力 |
300~500W |
300~600W |
150~250W |
①最大料金(時間) |
18円 |
21.6円 |
9円 |
②最少料金(時間) |
10.8円 |
10.8円 |
5.4円 |
③16時間つけ放し |
≒230円 |
≒260円 |
≒115円 |
④1か月料金(30日) |
6,900円 |
7,800円 |
3,450円 |
⑤4ヵ月料金(120日) |
27,600円 |
31,200円 |
13,800円 |
⑥比率 |
100% |
113% |
50% |
こちらの表は、石英管・ハロゲン・カーボンパネルのそれぞれのヒーターの電気料金をシミュレーションしたもので、電気料金単価は36円と想定しています。
①最大料金は、最大消費電力で1時間使用した場合の電気料金です。
②最少料金は、最少消費電力で1時間使用した場合の電気料金です。
③最大料金と最少料金の平均値で16時間使い続けた場合の電気料金です。
④毎日16時間使った場合の1ヵ月間の電気料金です。
⑤毎日16時間使った場合の4か月間(11月~2月想定)の電気料金です。
⑥石英管ヒーターを基準(100%)とした場合の料金比率
消費する電力は「弱」~「強」まで人によっても地域によっても異なるため、最大と最少の料金を求め、その中間値で「16時間連続」「16時間連続30日間」「16時間連続120日間」の電気料金をシミュレーションしています。
ただし電源を入れた直後は「強」運転ですが、温まって以降は「弱」運転の時間が長いため、実際の電気料金は上記シミュレーションよりも割安になる可能性が高い点はあらかじめご理解ください。
時間当たりの料金はあまり大きな違いはありませんが、1か月、4ヵ月と使用期間が長くなればなるほど、電気料金の差は大きくなってゆきます。
消費電力の違いがそのまま料金に反映している形ですが、実際の使用においては、電気代は安上がりでもカーボンパネルヒーターがなかなか温かくならない点を受容できるのか、電気代は割高だが速暖性に優れすぐ温かくなるハロゲンヒーターを評価するのかは人によって様々です。
また、速暖性に欠け、電気料金も割安とは言えない石英管ヒーターは、赤外線によって身体の芯から温めてくれるという他のヒーターにはないメリットを持っています。これも評価が分かれるポイントではないでしょうか。
エアコンと電気代を比較

こたつ以外にも暖房器具は様々ですが、代表的なものとして「エアコン」の電気代を比べてみましょう。
エアコンの暖房使用時の消費電力は、150~2000Wと幅広いですが、はじめは室温が低いために温めるのに大きな電力を必要としますが、室温が上がるにつれてパワーダウンして消費電力が低下してゆくためです。継続的な利用では暖房能力によって以下のような電気代となります。
広さ(能力) |
消費電力※ |
電気代/1時間 |
電気代/30日 |
6 〜 9畳(2.2kW) |
477W |
17.17円 |
8,241.6円 |
7 〜10畳(2.5kW) |
575W |
20.70円 |
9,936.0円 |
8 〜12畳(2.8kW) |
790W |
28.44円 |
13,651.2円 |
10 〜15畳(3.6kW) |
1,035W |
37.26円 |
17,884.8円 |
11 〜17畳(4.0kW) |
1,231W |
44.32円 |
21,273.6円 |
15 〜23畳(5.6kW) |
1,748W |
62.93円 |
30,206.4円 |
※経済産業省資源エネルギー庁|省エネ性能カタログ2022年版から引用
電気料金単価は36円と想定し、1時間暖房運転した際の電気代、1日16時間連続(7時~23時)で30日間運転した場合の電気代をシミュレーションしています。
こたつの電気代と比較すると、最も能力の小さな6~9畳用エアコンでも、最も電気代が割高なハロゲンヒーターのこたつを約6%上回っており、最も電気代が割安なカーボンパネル式とでは240%もの差が生じています。
こたつの電気代をさらに下げる工夫
こたつは、エアコンと比べても電気代を節約できることがわかりましたが、使い方によってはさらに電気代を節約することが可能です。
1番の節約方法は「熱を逃がさない」です。こたつ内の熱を閉じこめておければ無駄な加熱を避けてさらなる節電が可能になります。
ラグやカーペットを敷く
こたつに入る際には座布団やクッションを敷いて座ると思いますが、節電のためには、こたつ内にも敷物を置いて床や畳に熱を逃がさない工夫が必要です。
厚みがあって、マイクロファイバーやフランネルなど温かく肌触りのよい専用の「こたつ敷き」がおすすめです。
さらに、こたつ敷きの下に断熱シートを敷けばさらに断熱効果がアップして電気代を節約することが可能です。
大きめのこたつ布団をかける
こたつ内の熱が逃げる道がもう1つあります。こたつの上からかけている布団と床とのすき間です。
布団が小さいと床との間にすき間ができて熱が逃げてしまうので、大きめの布団をかけてすき間を作らないことが重要です。
こたつの出入りの際にもできるだけすき間を大きく開けないように出入りすれば電気代の節約に繋がります。
温度調節を中~弱に設定する
最初に電源を入れる場合(こたつ内が冷えている状態)を除いて、温度設定はできるだけ弱か、弱に近い設定でしようすることが電気代の節約に繋がります。
冒頭のこたつの電気料金のシミュレーションでも分かるように、強運転と弱運転では1.7~2倍程度の電気代の差が生じます。できるだけ弱運転で使うことが省エネルギーになります。
温度調節機能付きのこたつ
こたつは人の出入りがない状態では熱が逃げないので温度が上昇するため、サーモスタットはこたつ内が一定温度になると運転を止めてくれます。
したがって、サーモスタットなどの温度調節機能付きのこたつであれば、必要以上にこたつ内の温度が上昇しないため電気代の節約に繋がります。
人感センサー付きこたつ
人感センサーとは、人の有無を感知するセンサーのことで、人感センサー付きのこたつであれば、人がいない時には電源をOFFにするので無駄な電気がかかりません。
人が来れば再び電源を入れて温めてくれるので、いちいち手動で電源のON/OFFの必要がありません。
もっと電気代がかからないこたつがある
「綿入れ半纏」を着てこたつに入って蜜柑を食べる。
日本のお茶の間のよくある風景です。
この「こたつに綿入れ半纏」は理にかなった防寒で、下半身を温めてくれるこたつはどうしても上半身が寒いのが欠点ですが、綿の入った半纏が上半身を空気の冷たさから守ってくれるわけです。
着るこたつとは?
昔ながらの綿入れ半纏も優れた防寒着ですが、前項で紹介した3タイプのこたつよりももっと電気代を節約できるこたつもあります。
最近よく聞かれるようになった言葉ですが「着るこたつ」と呼ばれる製品があります。
「電気毛布」や「電気ブランケット」といった製品をご存知かと思いますが、それらをポンチョやガウンのように着られるようにしたものが「着るこたつ」と称して販売されています。
電気毛布は就寝時、電気ブランケットはデスクやソファでの使用が一般的ですが、AC100Vから電源を取っている場合には羽織ったまま移動することはできませんが、モバイルバッテリーなどから電源を取るタイプは羽織ったまま移動可能です。
「強」「中」「弱」の切り替えが可能で、寒さに応じて温かさを変えることができます。
消費電力は、AC100Vから電源を取る製品の場合で50~70W程度、モバイルバッテリータイプでは8~10Wと非常に省エネですが、7~8時間も温かさを保つことが可能です。
もっと行動的に活動するなら電熱ベスト
着るこたつは座卓型に比べて温かいままで移動できるのが特徴ですが、もっと行動的に活動するには「電熱ベスト」がおすすめです。
電熱ベストは、文字通りベスト(チョッキ)に電熱線を仕込んだもので、薄手で身体にピッタリフィットするので身体を動かしてもあまり邪魔になりません。
電熱ベストは屋外などで活動する際の着用を想定しているため、AC100Vコンセントからの給電はできず、モバイルバッテリー給電のみです。
市販のモバイルバッテリーが使用できるタイプと、専用のバッテリーが指定されている場合があります(付属か別売かはそれぞれ)。